どうも、ゆる部長です。
今回のテーマは「薄毛」、そう、我らの永遠のライバル。そして心の友。もうね、30代後半〜40代ともなると、会話の8割が「健康」「老眼」「薄毛」ですよ。たぶん次点が「ふるさと納税」。
で、ある日のこと。取引先との定例ミーティングを終えた後、雑談タイム突入。
この「雑談タイム」がね、地味に怖い。油断してると自分の髪の量とか年収とか、うっかり削られる。
その日も、相手の部長さん(50代・やや笑い声が大きめ)が言ったんです。

いや〜、お互い頭薄くなってきましたねぇ! ワッハッハッハ!
これ、笑っていいのか、どうなのか。
わかる、わかるよ。僕もおでこの面積がジワジワ北上してきてるのは自覚してる。
でもそんな笑顔で言わなくても!
で、僕も合わせて

そうですねぇ〜。最近は育毛剤が親友です!
とか言いながら場をなごませようとしたわけ。
そしたら相手がボソッとひとこと。

うちには、落ち武者がいるから…
……ん?

え? 落ち武者?

そうそう。ほんっとに、そのまんま落ち武者。頭のてっぺんはツルツル、横と後ろだけ残ってる。しかも、全然気にしてないんだよ、あいつ。ある意味、勇者。
いやいやいや。ビジュアル強すぎでしょ。
僕の脳内では、甲冑着たお侍さんが小田原あたりを落ちのびてる図が浮かびました。
でもそのときの僕の反応は、

へぇ〜、そんな方もいらっしゃるんですねぇ〜(引きつり笑顔)
と、なんとなく話を流す方向に。でも内心ではこう思ってたんですよ。
「いや、それはちょっと……清潔感、大事だよね?」と。
僕、個人的に“清潔感”ってすごく重要視してるんですよ。自分のためでもあるけど、他人の目を気にするって意味でも。だから、寝癖とかシャツのシワとか、結構気をつけてるタイプ。
もちろん「落ち武者ヘア」は選択肢として即アウト。アウトオブ眼中。自信が無くなりそう。
…と、勝手に「そういう人は自己肯定感低めなんだろうな」とか、いらんレッテル貼ってました。
でもね、違ったんです。
数日後、偶然その“落ち武者勇者”とエレベーターで乗り合わせたんです。
出会ってしまった、本物に。
まずね、想像より100倍シュッとしてた。
スーツはパリッとしてて、ネクタイもピシッと結んでるし、姿勢もピンッ! 背筋がバシーン!って感じ。
頭頂部こそツルツルだけど、なんというか…その佇まいに“誇り”がある。
「落ち武者」じゃない、「武士」だった。むしろ「武士の中の武士」だった。
弓矢どころか、刀も差してないし、心に鎧をまとってる感じ。
で、なんだろう、オーラが違うんです。
他人の目なんて気にしてない、自分の価値基準で立ってる人って、こういう人なんだなと。
たぶん彼には、「髪がある=価値」みたいな常識が通用してない。
「そこ、争う場所じゃないでしょ」みたいな、達観した目をしてたんです。
僕? 僕なんて、出社前にミノキシジル塗って、前髪をちょっと前に流して、なんとか“ある風”に仕上げて出勤してるのに。
勇者、ミノキすら使ってない。ノーミノキの境地。
エレベーター降りたあと、なんかもう、心の中でスタンディングオベーションでしたよ。
「かっこいい…マジで尊敬」って思った。
でもね、でもなんです。
その後すぐ、自分のデスクに戻って鏡を見ながら、こう思っちゃった。
「やっぱ落ち武者はイヤだな」って(笑)
結局、僕にはまだ「他人の目を気にする」部分が残ってる。
フサフサじゃなくても、せめて“清潔感と努力感”だけは出していきたい。
だから今日もミノキ縫って寝ます。
勇者にはなれないけど、せめて日々戦う足軽でありたい。
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