「会社をもっとよくしよう!」
そんなスローガンとともに、期初から始まった社内改革プロジェクト。
メンバーは部長や課長クラスの、いわゆる“中間管理職オールスターズ”。
第一回の会議では、起案者の偉い人が熱い想いを語り、参加者が自由に思いついたことを話す…という、なんともふんわりしたスタートを切った。
で、最後の締めがこれ。
「じゃあ次回、今日出た課題について、各自で考えたこと・思ったことを持ち寄ろう!」
なるほど。次回が本番ってやつだ。
プロジェクト始まって早々に“考えてこい型宿題”が出るあたり、なかなかハードモード。
ゆる部長、まさかのスイッチオン
とはいえ、「任されたからにはちゃんとやりたい」という謎の真面目スイッチが発動。
経験は浅い。センスも凡人。だけど時間だけはある!(土日に)
ということで、調べました。AIにも聞いたし、他社の偉い人にもこっそり相談しました。
昼休みにメモ帳を開き、帰宅後はカフェで資料を練るという、意識高い系のムーブまで織り交ぜて割と必死に頑張ったと思います。
スライドには「改善の狙い」から「導入効果イメージ」、果ては「リスクと対応策」まで詰め込んだ。
そして、表紙にはしっかりとタイトルを入れる。
『会社改革案 Ver1.0 〜たぶん世界を救う〜』 ※実際のとはちょっと変えてます
冷静に見るとスベってるかもしれない。
でも筆が乗ってるときのテンションは止められない。深夜2時の自分を責めるのは翌朝の自分に任せよう。
第二回会議、そして発表
そして迎えた運命の第二回。
資料を握りしめ、Zoomを起動するゆる部長。
内心では「みんなのアイデア、どんな感じかな?」とちょっとワクワクしていました。
が、ここで違和感。
…あれ?
資料らしきファイルを開いてる気配がない。
みんな、表情だけは真剣だが、ディスプレイから漏れる“資料感”がまったくない。
そして、進行役からの一言。
「じゃあ、ゆる部長からお願いします」
え、トップバッター?ぼく?
そして、僕は発表しました。
画面共有をして、構成を説明して、背景や問題意識、そして自分なりのアイデアを語りました。
詰め込んだ知識と想い、全部ぶつけた。
発表が終わると、しばしの沈黙。
そして、誰かが口を開いた。
「めっちゃちゃんとしてるね」
いやいや、そういうプロジェクトでしょ!?
次々と湧き上がる「おお〜」「すご…」の声。
そして、ついに発起人がこう言ったんです。
「いやぁ、ゆる部長の資料が良すぎて…僕の資料、見せるの恥ずかしくなっちゃって…」
ちょ、待てよ
おい。
おいおいおい。
なにそれ!?!?
それ、ドッキリなの!?!?
まさかの「新人部長だけ本気出しちゃった選手権」開催中!??
某ドッキリGPみたいに、モニターの向こうで東野さんが「ワハハ」って笑ってくれてる?
気づけば、ほかのメンバーは資料どころか「アイデアまだまとまってなくて〜」とか「考えてたけど、整理できてなくて〜」とかいう空気に。
え、じゃあ今の発表って…僕ひとりだけ夏休みの宿題ガチで出してきたやつ!?
会議終了後の虚無タイム
そのあと、「ゆる部長の資料をたたき台にしよう!」という謎の展開になり、ちゃっかり次回の宿題まで決まっていた。
いや、嬉しいけど!!
もっとこう、みんなでアイデアぶつけあう青春みたいな空気になると思ってたのに!!
Zoomを切ったあと、深くため息をつきながら机に突っ伏す僕が一人。。。
学び:真面目な人が浮くの、学生時代だけじゃなかった
真面目にやると浮く。
それ、学生の頃までだと思ってた。まさか社会人になってまで味わうとは。
でもまぁ、何も出てこない会議より、誰かが先に火をつけた方がいい。
たとえそれが“ゆる部長の火だるま発表”でも。
次回もたぶん、同じテンションで資料作ってると思う。
もはや意地です。
おまけ:会議後のチャットにて
「ゆる部長、空気読まずにガチでやってくるとこ、ほんま好き」
って言われた。
いや、空気は読んでるの。読んだ上で破ってるだけなんだ。
たぶん、弊社の未来はちょっとだけ明るい(かもしれない)。
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